饒舌なハレーションの朝/ホロウ・シカエルボク
 
なムードを漂わせている、そして歩道を歩いている連中の幾人かはゴーストよりも死んでいるみたいに見える、彼らが背負っている人生はまるで、排水口に捨てられたまだ目も開かない子猫のそれを何倍にも引き延ばしたフィルムみたいに見える、俺は十字を切る、信仰などないがくせのようにそうしてしまう、誰かのためというよりは自分のためだろう、魔よけみたいなものだと勘違いしているのだ、なにかの映画で観た仕草だった、真似しているうちに自然にそういうタイミングで出るようになった、ただそれだけのことだ、と言ってもいいし、もっともらしい意味を考えて付け足してみてもいい、真実の楽しみ方には実際、こうするべきなんて決まりごとはとくにな
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