『架空日記抄』/ハァモニィベル
 
みた。しかし、其奴(そいつ)は、自分の尻尾を咥えたまま、憤怒の形相で動かない。コレはこれで、誰か、かなり苦悩している人の手紙なのであろう、きっと。


○月 □日
  朝、ベッドの中でいつまでも起きられず、顔を洗ったときには、時計は8時を過ぎていたが、昨夜、なにか夢を見たような気がして、しきりに思い出してみたが、いっこうに思い出せなかった。私は、見た夢のことをまったく覚えていられない性質(たち)なのだ。ただ、何となくだが、骨相学についてアリストテレスと議論して彼を号泣させてしまったような気もする。 
  {引用=(――筆者註)
   ◇ 骨相学というのは、19世紀、西洋で大
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