『架空日記抄』/ハァモニィベル
から醒めずにいるような気すらしている。書斎の机の一番大きな抽き出しの中に、一冊の黒革の日記帳だけがひっそりと重く入れられているのを偶然見つけてしまい、ともかくも、私はまずそれから読み始めた・・・・・・。恋を知らずに死んだと言うその人は、どうやら、毎日誰かからの手紙をずっと待っていたようだった。そこには郵便箱の記述が何度も出てくるのだ・・・・・・
○月 □日
今日も、ポストを開けてみた。すると、今日はアルマジロトカゲが入っていた。何なのだろうこれは。悪戯だろうか・・・。普通の人であれば驚くに違いない。でも、私はものに動じない性質(たち)だから、「コンニチハ、元気?」と挨拶してみた
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