複雑性PTSDという病、メンタルハラスメントにあってからの再発と回復/田中修子
 
だろう。自分の中の醜い心理に直面しなければ、細やかには人間のことをえがけないだろう。

私?
「本当にいい人たちは、収容所からは戻ってこなかった」
死んでしまった子たちは、本当にまじめで、優しい子たちだった。家族を恨まず、加害者を恨まず、すべて自分が生まれたことがよくなかったと引き受けて、亡くなっていった。
ある意味で、いま生きているというそれだけで、私は相当年季の入った悪人である。醜い心理状態の人たちのもとで、それらをつぶさに観察し、ある時は利用し、生き延びてきた。-人は醜い、私も醜い、神も持たない私が信じていたのは、雨だれの音や咲く花、青い夕暮れや、一人ぼっちで聞いた夜の、真っ暗い海
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