鳥たちはレクイエムを知らない/ホロウ・シカエルボク
 
なものを想像していた気がする、でもその部屋でわたしが目にしたのは、床中に散らばった鳩の死骸の羽を、ひとつずつ丁寧に毟っている少女の姿だった、わたしが驚いて立ちすくむと、少女は歌をやめてこちらを見た、西洋の絵本から出て来たみたいな少女だった、栗色の、肩よりも長いソバージュの髪、幼さをあまり感じさせない、鋭角な線の輪郭、大きな瞳は髪と同じ色だった、バイク事故で死んだ人形作家の作品のような少女だった、白く、フリルのついたふわふわのワンピースを着ていたことも、そんなイメージの原因には違いなかっただろう、少女は少しの間わたしを眺めて、それからにっこりと笑った、下唇が厚めの、小さな口だった、口紅をつけているか
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