鳥たちはレクイエムを知らない/ホロウ・シカエルボク
の言葉だろう?「夢路より」という歌だった、廊下のいちばん奥、第二音楽室と書かれた部屋からそれは聞こえていた、わたしは急いではいけない気がして、一階でしていたのと同じように、ひとつひとつの部屋を確認しながらその部屋に向かって行った、きっとあの部屋の扉は開くだろう、そんな気がした、その、おそらくは女の子であろう歌声の主は、いったいどこからここに来たのか、どうやって来たのか、どうやって帰るのだろうかと、気にすれば気にするべき点はいくつもあったが、そのときわたしはそんなことをまったく気にしたくなかった、ただ不思議と、吸い寄せられるようにその場所へと向かっていただけだった、その歌声から、わたしは凄く綺麗なも
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