鳥たちはレクイエムを知らない/ホロウ・シカエルボク
どうせ、もうずぐ辞める仕事なのだ、少しくらいサボったところで、誰になにを言われることもないだろう、いままで糞真面目にやってきたのだ、どんな努力も返ってこないそんなところなのに…二階に上がると、少し空気が冷えた気がした、山の中だからだろうか?それにしてもこの温度差は不自然だった、なにか、そういった効果を得るための特殊な構造の建物なのだろうか?でもなんのために?一瞬、引き返そうかと思った、実際、そうするところだった、でも、わたしをそこに留まらせたのは、そして先へと進ませたのは、廊下の奥から聞こえてくる静かな歌声だった、メロディには聞き覚えがあったが、日本語の歌詞ではなかった、英語でもなかった、どこの言
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