あじさい/田中修子
に合わさり鉛色の雲を瑞々しくたたえた天に向かってひらく 雨粒をうけとめ それを飲み干していくのは
アマガエルそうして子どもたち、夢想にふける自我なんて
雨をうけとめつづけた器その内側からやがて水そのものがあふれ出し 地を満たすなら
箱舟にのせて流してしまいたい 羽ばたく白い知らせを待って
時期に咲く花花があの神話を生み出したの いえ、二度目の洪水なの
耳からつながって頭蓋のなか
人魚が水死体を喰らう みなそこに
紫陽花の鉢植えをおきたい 淡い あかむらさき・あおむらさき
白い紫陽花もあるよう 北欧のランプみたいだね みなそこを光らせよう
アジサイという題名で小さな詩のような
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