旧作アーカイブ5(二〇一六年四月)/石村
 
 からつぽの君も
自由なのさ はじめから
自由は君の 持ちものぢやない
君が 自由だ からつぽの君が

ほら いつまでも
傷付いた振りをしてゐる そこの君
いい加減 遊びはおしまひにして
立ち上がつて 唄ひ出してみよう
よく見てごらんよ ほんたうに
見てごらん しつかりと

ほら わかつただらう
過去といふ詰め物には
何の力もありはしない
からつぽさんの 君だけが その詰め物に
いのちを吹き込むことができる

かなしむのは 君
痛むのは 君
怒りも 恨みも 憎しみも
からつぽの君が 生み出すもの

微笑むのは 君の心
ときめくのは 君の心
愛しさも
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