旧作アーカイブ5(二〇一六年四月)/石村
きたきや 線を描け
セザンヌのやうに クレーのやうに
精確に 辛辣に 単純に
何だつてできるさ 想ひのままさ
季節をめぐらせ 星々をきらめかせ
菜の花を咲かせ 薔薇を咲かせ
桜を散らし 楓を色付かせ
素敵なあの娘の横顔を
この世の果てまで見つめてゐるのも 悪くはないさ
からつぽだから
自由なのさ
だから不自由にもなれるのさ
あれやこれやを詰め込んで
それが自分だと決め込んで
後生大事に手放さずにゐれば
いつまでもさうしてゐられるさ
認めてもらふ 自由
誰かから勝ち取る 自由 そんなの嘘さ
詰め物ひとつ増やしただけの 子供だましさ
からつぽの僕も か
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