旧作アーカイブ5(二〇一六年四月)/石村
 
てください

ふるへが止まるまで
ふさがつた胸がひらかれるまで
やさしさがかへつてくるまで
歩き出せるやうになるまで

そこにゐてください
私にほほゑんでください


(二〇一六年四月二十二日)




  瞳


私はあなたの瞳に住んでゐました

あなたが見つめるもの
やさしいもの
きれいなもの
なつかしいもの
どれもみな 私のものでありました

あなたのまなざしのあたたかさは
そこにゐる私も あたためてくれました

私は まどろんでゐました あなたの瞳の中で
そしてひんやりと木立を吹く風に ふと目をさますのでした

私が
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