真夜中、旋律のない第一楽章/ホロウ・シカエルボク
 
べて同じだ、人間は空に浮かぶ雲のようなものだ、ふわふわと心許なく、移動や停滞を繰り返す、風が動く限りそれは変ることがない、時が来れば蒸発して失くなってしまうだけのことだ、前方にも、後方にも、同じような連中が列をなしている、そうして時々そのことにうんざりしたりする、わたしには仲間意識というものがない、それにどんな意味があるだろう?所詮わたしたちは肉体を超えることなど出来ないぎこちない個体なのに、境界線の見えない連中は分不相応な発言を繰り返す、わたしは含み嗤う、いつもそうしているように、人生は喜劇だといまでは化石のようなものになったエンターテイメントはうたう、でもわたしはそれを本当に可笑しいと思ってい
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