生きてきたこと:Part 2.1/由比良 倖
 
とは思わなかった。僕はよく、彼のためなら生きられるな、と思った。僕自身も、彼のことを心配していた。一度もそうとは言わなかったけれど。彼も決して、幸福いっぱいで生きているわけではない、と勝手に思って、それで、彼の幸せの為に僕が死ねるなら……と考えてすぐ、死んでどうする?、と思える程度に、僕は、もしかしたら多分回復し始めていたのかもしれない。彼のことを考えるたびに。僕は実際、倒れた時あたりから、回復し始めていた。家の中で、何もせずに寝ていることを、罪深いと感じなくなったのは父のおかげで、以前はギターを弾くたびに「ギターなんか弾いて……」と詰っていた父が、「ギター、ちょっとうまくなったな」とか言ってくれ
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