生きてきたこと:Part 2.1/由比良 倖
 
たいだったけど、何故か生きていた。28歳の時、僕は倒れて救急車で運ばれた。廃人みたいだった僕を、その時、父が初めていたわってくれた。僕は感情なんてほとんど残ってなかったけれど、父の態度が、僕を心配するように変わったことは、とても嬉しかった。まだ、生きていこうとは思っていなかったけれど。アル中で、生きるつもりがなくて歯も磨かなかったので、虫歯が増えた。前歯が四本と、下の歯が一本、根元から無くなり、どの歯も脆くなり、歯の折れたところから、常に血が流れていた。というのは、今もそうだ。歯医者に行こうにも、お金がない。おそらく六本の歯をセラミックのインプラントにしなければならないと思うけれど、一本だけで何十
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