生きてきたこと:Part 2.1/由比良 倖
 
界は事実として、そんなに確固として出来ている訳じゃない。統合失調症患者には「事実として」おかしなことが起こっているのだ、と僕には想像出来る。僕は、夜中、外で喋っている少年たちが、何故か僕を殺す計画を立てていることを、はっきり聞いたことがある。それは、本当に、起こっていたことかもしれない。夜中、いきなり少年たちに殺される人が、この世に全然存在しない訳ではない。でも僕は、それを幻聴だと思った。疲れているのだと思って、薬を飲んで眠った。でも、僕には、確かに、事実として、それが聞こえたのだ。それを自分の病気だと判断する方が、実は自分にとってとても不自然なことだ。あと、僕は自分の考えが盗まれていたことがある
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