生きてきたこと:Part 2.1/由比良 倖
えない。でも、段々苦しんでいる割合の方が増えてきて、いつも霊が自分を圧迫して苦しめる、と言っている内に認知症になって、今は母の顔も忘れているらしいけれど、霊の方は去ったのか、去っていないのか、僕は知らない。僕には祖母の感じが少し分かる。気の毒に思う。祖母は、多分、今思えば、最初に誰かにストーキングされている、と言っていた時点で、病気だったのだ、と思う。いや、もしかしたら、最初の最初は、本当に被害を受けていたのかもしれない。統合失調症に縁のない人から見れば、何処かの時点で「いや、自分がそんなに大規模な集団に狙われる訳がない。つまりこれは私の妄想なのだ」と判断できるだろう、と考えるだろう。でも、世界は
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