生きてきたこと:Part 2.1/由比良 倖
「人に考えを盗まれた」と「言う」ことには生活上、大きな違いがある。僕の祖母がかなり典型的な統合失調症で、病識が無く、常識から段々ずれていって、最初は実在する人物にストーキングされていたのが、大規模な集団に付け狙われるようになり、近頃では生き霊だか念波だかに四六時中襲われているらしいのだけど、あまりに自然にそのことを話すので、最初は誰も病気だとは思わなかった。祖母は大真面目に警察に被害を訴えていたし、警察ににべもなくされると、玄関に監視カメラを付けたり、常にカメラを持ち歩いて、自分を付け狙う人物や集団を撮影しようとしていたのだけど、近付く人をみんな撮影していたために怒られたこともあったし、集団の構成
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