生きてきたこと:Part 2.1/由比良 倖
 
明文化されない。よって、僕がここで、僕自身がおかしいのか、そうでないのか、書くことには、大して意味が無い。
 かと言って、では、統合失調症は考え方の問題なのか?、「正しさ」という概念に捕らわれなければ罹る病気ではないのか?、と言われれば答えは微妙だ。鬱の場合は答えは決まっていて、鬱は考え方の問題ではない。それは容赦なく幸福な人をも捕らえる。
 本当の統合失調症患者は、周りが狂っている、と本気で言い始める。僕はそのことを知識として知っていたから、自分が狂っている、ということにしていた。けれど、そういう考え方が出来る程度に、脳内に余裕があった、とも言える。「人に考えを盗まれた」と「思う」ことと「人
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