生きてきたこと:Part 2.1/由比良 倖
も有り得るかもしれない。けれど、自分がおかしいのか、それとも周りが全部おかしいのか、の二律背反にならなければ、どんな状況にあっても、まずまず正常(というか冷静?)にいられると思うし、正しいかそうでないか、とか、何が正しいのか、ということは実は生きていくのにそんなに重要ではないし、第一殆どのことはただ言葉で正しいとかおかしいとか言っているだけであって、言語以前には正しいもおかしいも存在しない。それに、正しさという概念は決して一定しない。人殺しはいけない、という当然常識的みたいなことだって、戦時には曖昧になるし、死刑囚は殺してもいいことになっている。どうしても踏み越えてはならない倫理というものは、明文
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