生きてきたこと:Part 2.1/由比良 倖
ていた。そしてそれが、よく見ることだと思っていた。無心、というものがどこにもなく、何も感じてなかった。生きてて、それではつまらないと、自分でも思ったけれど、僕が適当なことを言っていると、みんな適当なことを言っているように思われてきて、人生なんて、大して、こんなものに過ぎない、と感じて、それでも自分に何かが欠けていることだけは確信していた。本当は違うのだ、本当は僕はもっと楽しめるし、本当は僕はもっと楽しい存在なのだと、恨みがましく、卑屈にもなって、いつも何かが決定的に折れてしまったような気持ちでいた。
《3》幻覚、妄想
「自分はおかしいのかもしれない」と自分で意識することが、本当におかしくな
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