生きてきたこと:Part 2.1/由比良 倖
てしまうときもあった。けれどやっぱり、夜は眠れなかった。いくら堂々としていて、自分のことを勘定に入れないでいても、身体は段々疲れていき、不平を言いたくもなって、その内には自分が被害者だと思うようになってきた。けれどやはり、全体として、僕はどこかがおかしいと考えていたし、しかしそれは僕の知性と勇気の欠如の問題で、僕の感情の問題だとは考えなかった。僕は、「正しく」生きようと思っていたけれど、その実怯えていただけだった。絶対に人に不快感を与えないように、と怯えると、むしろもっと不快な存在になってしまうのではないか、きっとそうだ、というジレンマに陥っていた。「別に、人に不快に思われていいじゃないか」と考え
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