生きてきたこと:Part 2.1/由比良 倖
 

 そんな世界に住んでいるのに、しかも親には、甘えるなと説教され、自分では自分がまともでないと思いながら、だからこそ、人にはまともなふりを続け、ちょっと元気が出てくると自殺しようと思い、不安と恐怖の中で、少しの願望だけは針のように強く残り続け、何かを求めて、音楽を我慢して聴いてみたり、本を少しだけ読んでみたり、少しでもまともなことを、書こうとした。

 けれど、こうやって書いているけれど、本当はひとつひとつの具体的なことが恐かったわけじゃない。
 書けないところ、感情の飛べなさとか、いつもひとりになれない感じ、寝ても覚めても疲れてる感じ、それから愛着心の欠如、それから、そう、個人的な感情を
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