生きてきたこと:Part 2.1/由比良 倖
のことをいっぱい書いたけれど、それは鬱がたいへんひどいときに一時的に起こるものだ。けれど、鬱状態そのものについて書くのは、とても難しい。きらきらした感情、本を読んで、お腹が温かくなる感じ、音楽に満たされる感じ、生きていくのに大切な、僕の個人的な感情、それらが全て消え去ってしまう。もう、それらは消滅、崩壊し尽くされたもので、戻ってくるなんて、期待してはいなかった。あるとき、僕の中に奇跡のように温かい感情や、光を感じて、そのことが僕には不思議でたまらなかった。嬉しいと同時に、また、一時的に良くなったように感じることは今までにもたびたびあったことなので、その光や熱も、ほとんど錯覚かと思う内に消えてしまう
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