迷子/ああああ
 
口に碁石を詰め込む。詰め込みながら何度も何度も刑務官を殴った。男は囚人服を脱いで、ぐったりした刑務官から制服を脱がしてそれを着た。壁にかかったポスターを剥がすと、そこには大きな穴が空いていた。光が差していた。男は穴の中に潜り込んだ。

 男は穴の出口に背の高い少女がいるのに気がついた。少女はいつも霧の晴れない池のほとりで一人であそんでいた。そこに糊のきいたエプロンをした女性がやってきた。エプロンの女性は「これ、忘れもんだよ」とバズーカのようなものを差し出す。エプロンの女性は「もうこれはいらないね」と少女に尋ねる。少女が黙ってうなずくとエプロンの女性はバズーカのようなものを池に投げ捨てた。しばら
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