迷子/ああああ
 
 トイレから帰ると同じ班の人がだれもいなくて、そっかーと思った。予想できないことではなかった。置いてけぼりにされたことに怒る気持ちははなかった。ただ、なにも考えずにここまでただ班のメンバーの後ろをついて歩いていただけのぼくは方向音痴だから、一人で宿舎まで帰れるか不安だった。他人と関わるのが嫌いなくせに、他人に依存していたことに気付かされた。ともあれ、坂を登ってここまで来たことに間違いはないので、坂を下りはじめた。霧が濃かったが、池が見えた。石畳に躓いて転んで、これからはちゃんと足元を見て歩こうと思った。目印の池はまた隠れてしまった。それでも足元を見て歩いていると、一つの敷石の隙間から光が差している
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