『ぼくと猫のフーの冒険』/beebee
 
なりました。ぼくは両手を振り回し、叫び
声を上げながら落ちて行きました。トンネルの中をくるくる回りな
がら落ちて行くと、底は思ったよりも深くて、暗くて、ふかふかし
ていました。とてもコタツの中とは思えません。しかも不思議なこ
とに、底について見上げると、なんと穴から冬空が見えたのでした。
 ぼくは手と足を突っ張りながらよじ登り、何とか縁に捕まって、
穴から這い出ました。そこは冬の庭だったのです。真っ青な空に太
陽が大きく輝いています。ヒューと冷たい風が吹いて来て、思わず
セーターの首元を抑えました。
「こっち、こっち。」
 猫のフーが穴の向こう側から声をかけて来ました。よく見る
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