再度の怪/阪井マチ
員に今し方あったことを語り聞かせた。話し終えたあとで、たった今大変な間違いを犯してしまったのではないかという思いに襲われた。話を聞いた店員は断りを入れていったん先客の注文を取りに行った後、戻ってきて私に言った。
「怖いですね」
その日はそこで食事を済ませて帰宅した。その食堂にはそれがきっかけでよく通うようになり、話を聞いてくれた店員と徐々に親しくなった。数年後に結婚して、娘が一人生まれた。子育てに仕事にとあわただしく日々が過ぎていきながらも、概ね穏やかに家族三人の生活は続いていた。
日曜日の朝、リビングに入ると娘がコーンフレークを食べていた。娘は部活も習い事もしておらず、休日はほとん
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