再度の怪/阪井マチ
 
ら逃げ出した。人の姿を求め真昼中の町を駆け巡った。
 ようやく人通りのある道に出たとき、私は何だか途方もなく疲労していた。振り向いたとき彼はどんな顔をしていただろう、と考えると頭に紗がかかったようになり、身体中から汗が噴き出して止まらなかった。
 顔を上げてみると、すぐ近くで食堂が営業しており店内はたくさんの人で賑わっていた。震える足を動かして私はその店に入った。誰でもいいから人と話がしたかった。
 いらっしゃいませ、と言い掛けた店員が、気遣わしげな顔で近寄ってきた。
「どうしたんですか、そんなに真っ青になって。まるで幽霊でも見たような顔をしていますよ」
 私は縋りつくように、その店員に
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