とりとめもなく書く、ネット詩のこと/atsuchan69
 
だったりと人それぞれだった。その【声】が時どき歌をうたったり詩を読んだりした。【声】には感情があった、そして【声】は誰よりもそれを聞く人の理解者だった。しかしそれは【AI】が蓄積した膨大なDB(データベース)からDM(データマイニング)を行って選んだ模範的な答えにすぎなかった。それでも人は【声】の歌う歌詞の内容に涙したり、永遠を感じとったりもした。

 あるとき、誰かが「月の舟」というフレーズを炊飯器の前でつぶやいた。

 DBには、池田聡、「天の海に雲の波立ち月船(つきのふね)星の林に漕ぎ隠る見ゆ」という万葉の詩句のほかに、アポロ宇宙船、そして無名のネット詩人の書いた「月乃舟」他の膨大な
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