棺の部屋/ホロウ・シカエルボク
 
うことは、同時に傷つけることでもある、刃物は研いであるほうがいい、でも、あまりにもそこにこだわってしまうと、少し触れただけでも簡単に指を落としてしまうようなものになる、そんなものを自分が持っていると自覚してしまったら面倒だ、こちらから歩み寄るという気持ちのいっさいを捨てて、安全な距離を保っておかなければならない、それは責任のようなものだ、核弾頭を所持しているのなら、ボタンは押さない、たとえるならそういうことだ、ようやく起き上がり、明かりをつける代わりに窓を少し開けてみる、大人しく吹いている風には、この街に付着した埃の臭いがする、シチュエーションというのはときに凄くわかりやすいものだ、でもたいていの
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