棺の部屋/ホロウ・シカエルボク
 
たはずの灰皿の上で煙草をもみ消したつもりだったが、葉書が焦げるような臭いがした、どうやら的を外してしまったらしい、ふん、と鼻で笑ってなかったことにした、失敗はすべて忘れてしまうことだ、あとから悔やんだところでどうしようもないこと、この次は同じミスはしないように気を付けようと思っても、結局は繰り返されてしまうのだ、おかげで机は焦げる一方、差出人のわからない葉書が増えるばかり、もしかしたら誰にも返事をしたくないのかもしれない、失敗の理由としてはそれはなかなかに気の利いた要因だった、だけどそれは気分を変えるようなセンセーショナルなものでもなかった、戦場で耳にするジョークってきっとこんな感じだろう、火薬の
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