おれの(おれたちのではない)イチローだった/はだいろ
 
輝きだったことか。



96年の日本シリーズ、オリックス対巨人の第1戦。
延長10回に、それまで沈黙していたイチローが、
決勝ホームランを打つ。
翌日の、日刊スポーツの一面を、おれは、忘れることができない。
かっこよかった。イチロー。
その瞬間、
イチローこそが、ウルトラマンだった。
唯一無二の、主役だった。
巨人は、やっつけられるべき、怪獣にすぎなかった。
おれの主観ではなく、全国民的に、圧倒的な現実、事実として、そうだった。
これは、コペルニクス的、天地大転換の瞬間だった。


もし、イチローが、おれのイチローがいなかったら、
おれは、おれのこころは、あの
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