おれの(おれたちのではない)イチローだった/はだいろ
スブルーウェーブという、
決して馴染みようのない奇妙な名前の野球チームが生まれるのである。
ところが・・・
その、挫折したおれの夢の残滓のような陽炎の中に、
一人の若者が現れる。
当時はテレビ中継もあったジュニアオールスターで、
ホームランをかっ飛ばし、MVPをとった。
鈴木一朗。
もちろん、無名である。
オリックスの二軍の選手である。話題はパンチ佐藤しかない。
ドラフト4位の選手である。
それからは、あれよあれよである。
200安打を記録した時、誰だったか、「イチローの水しぶき」という表現を使ったけれど、
どれだけ、フレッシュで、まばゆく、美しい輝き
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