冷たい七面鳥/ホロウ・シカエルボク
の部屋はそれからすぐに引き払ったけれど、思えばいまもそこからあまり遠くないところに住んでいる―俺は自分が死にかけていることがわかった、それがこの、現実とも幻覚ともつかない世界の中でのことなのか、それとも生体としての完全な終わりなのかという部分についてはなんとも言えなかったけれど、とにかく死にかけていた、体温はすっかり失われて、歯の根が合わなかった、こむら返りのように全身が突っ張り、あらゆる筋が音を立てて切れるのではないかというほどに伸び切っていた
「そこは怖いところなの?」
「そうだね、怖いよ」「人間が持ちうるものの中で一番怖いものだよ」
「バネの罠より怖い?」「バネの罠より怖いよ」
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