Sestina2/ふるる
ている間に
なんとなく始まった焚き火はきちきちと燃えた
ま冬なのに、と君は言う。生暖かくて怖い
昔を今さっきみたいに話す君の声はかわいくて怖い
くらいで、林檎の匂いのする想い出に揺れる街
秋深くネコも催眠術師も夕陽色に燃えた
約束の時間に君はあらわれない
満月が挟まって動けずにいる電波塔の谷間に
くらくら僕の恋心は響く
最上階の部屋で悲鳴は視神経にまで響く
夢が魚のような感触を増していくようで怖い
僕は急いで剥がし屋へ行った、君が浅瀬の眠りにぶらさがっている間に
助けてくれそうな人は皆引っ越して小雨の水中花の街
あの工事のせいなのかソーダにクリームを混ぜたせいなの
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