Sestina2/ふるる
なのかはわからない
立ち上がるべきだ、と国選弁護士の瞳は正義に燃えた
急カーブで放り投げられた証拠はあっというまに燃えた
月が近づいてくる、と叫ぶ君の白い足が踊り場に響く
結局ことはうやむやにされさすがに覚えている人もいない
叫び続ける彼女も恐怖だがほんとうに怖い
のは都合の悪いことはいち早く薄れてゆくこのガラス張りの街
もういい逃げよう、黒い大きな鳥が密かに数を増やしている間に
やっと目覚めたはずの彼らもいない のろのろと河だけが燃えた
黒こげの楽器たちが騒ぐあい間に 増えすぎた大きな鳥のうめき声が響く
怖いほど無口で無口で怖い 上も下も分からなくなった街
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