旧作アーカイブ1(二〇一五年十二月)/石村
 
のない 花束を投げた

この宇宙をどこまでも広げていく あらゆる命たちが
ひかれ合ひ 巡り合ひ 触れ合ひ 心通はせる
そのよろこびを 絶やすことのないやうに ――

彼らが心を向けさえすれば いつでもそこから
色とりどりのいとほしさが薫り立ち その心をみたすやうに ―― と

その命たちは かなり愚かではあつたが
素直でやさしい心映へをしてゐた

やがて彼らは 降りていつた 小さな青い星に

丘の上で
川のほとりで
薫る風の中で
しんしんと降りつむ雪の中で
そぼふる温かい雨の中で
その花束をたずさへて
彼らはそれぞれに巡り合ひ 触れ合ひ 心通はせた
――
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