卒業/R
哭き叫んだ彼がうつろになる過程を
間近で見れて良かったとか、
あのソーセージの脂っこさは忘れられないとか、
今夜はポトフにしようかとか、
考えていたら私は雪になって空へ巻き上げられていた。
遠く窓の向こうにミシンが並び、
遥か頭上を車が走っている。
電線の爪弾かれる音を聞きながら、
マンションをひらりと避けたところで、
ふかふかした白いものとぶつかった。
それはポプラの綿毛、
大きなぼた雪のようにあたたかい、あれは、
ぼた雪よりもずっと軽く、北大から飛んでくるらしい、
けれど北大のポプラがどこにあるかは知らないし、
実は道庁出身だったかもしれない。
道庁の、モ
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