最終電車/石村
 
りときえていき
みつつ ふたつ
さいごのひとつ
そして終点

ひかりもなく 暗闇もない
ゼロと無限が たがひにぐるりとまはつて
ここでくつついてゐる
たしかにここだ
はじめての夢がわき出した
ひろがりも ふかさもない ひとつの点
やうやく着いた
かるく眼をとぢ ひと息吸つて
それからくるりと向き直る

とほくにひろがる 銀河の全景

やあ このせいせいした気分はどうだらう
この星々と そこに棲む 
生きとし生ける あらゆるものたちを
まとめて抱きしめてやりたい

さうだつた 時がうまれたその瞬間
わたしはたしかに さうおもつたのだ

これでいい 
[次のページ]
戻る   Point(19)