崩落の朝、公園で。/ホロウ・シカエルボク
ころの記憶が、いまでもこうして俺におかしな真似をさせるのかもしれない、でもそんなことどうでもよかった、結局のところ、そういうものならそういうものとして生きるしかないのだから…枯れた、背の高い銀杏の木の根元に立って、先端を見上げる、鋭角に入り乱れた枝々が空に入った亀裂のように見える、息を吸い込むと湿った土のにおいがした、ふと、てっぺんまで上ってみたいという衝動に駆られてしまい、決めかねていると公園内の公衆便所からうす汚れた爺さんが出て来て、一瞬こちらに視線を向けたあと公園を出て近くの総合病院の方角へと歩いて行った、それで俺はそれ以上おかしな衝動を持て余さずにすんだ、便所か、と俺は考えた、そういえば目
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