エナガのうた/Wasabi
今度こそ会えるかもしれない。行ってみよう。
うっすら雪化粧をした夕暮れの雑木林は、2月の北風にカサカサと音を立てた。いつもはあんなに聞こえる沢山の歌声が、今はもうピタリと止んでいる。
巣をみるとルリビタキさんの姿はなく、代わりに、どす黒く光った鋭いくちばしの大きな鳥が、わたしの白い羽をくわえて、こちらを睨んでいた。わたしは恐ろしさにギョッとして声も出さず、無我夢中で飛び去っていた。ルリビタキさんはあのカラスに襲われてしまったのか、なぜカラスがあの場所にいたのか、なぜわたしの羽をくわえていたのか、わたしを殺す気だったのか、ショックと寒さと混乱で疲れきり、考えることもできず、そのまま夜がきて眠
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