道[tao] effect/人形使い
 
なリフレインは複雑なリズムとなり、それは万物の深い扉を叩いた
音階はどこまでも続く螺旋階段の可聴域を、上から下まで、スレイプニールのように翔けた
やがて音楽は展開し、拡散し、あちこちで道草を食みはじめ、空間は隈なく埋め尽くされていった

鉄塔はわずかにしなってリズムをとり
ビルディングにずらりと張られたガラスは深い音圧に共振して小さな音を出した
外灯は明かりを微かに震わせて表情を持ち
夜に底冷えたコンクリートは仄かな体温を持った
樹は枝に闇を結んで茂り
さなぎの中の蝶々は新しい羽根の模様を約束された
星々はひっそりと光の涙を天空に流し
すべての人間が我知ら
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