騒乱、喰らい尽くして/ホロウ・シカエルボク
を込め、その肉を一気に噛み千切る、生温い絶望の臭いがする、口のなかでどろどろと生命がもがいている、噛み砕き、磨り潰し、味わい飲み込むと、獲物の体温がおれのものになる、おれの心臓は興奮で膨れ上がる、見ろよ、おれの目は血走っている、そのときのおれは確実になにかを知っているんだ―ひとは誰もおのれの内に獣の本能を残している、それは喰らうのを待っている、そして喰らわれるのを待っている、喰わせろ、喰わせろと内奥で吠えている、それは耳に届くことはないが、そいつが吠えるたびに筋肉は振動する、そのわずかな揺れが、すました顔で生きているおれを焚きつけるのだ、おれはワードの奥底にそれを見ている、白い画面を埋め尽くす羅列
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