最後の一羽/やまうちあつし
 
舌なめずりと
 黒い塊
 今となっては
 どうにもならないことです
        
 私は私の一族の
 長い旅路を想います
 それを想うと
 気が遠くなるようです
 夜空の星とその数を競った
 私の祖先たちは
 今では何処へ消えたのでしょう
    
 あなたには
 つゆほどの恨みもありません
 毎日のあなたの呼びかけを
 あるいは口笛を
 聞くことが楽しみでした
 いつしかそれが
 生きる目的であったと
 言っても過言ではありません
    
 あなたは私を
 常にいるもののように
 愛してくれました
 過去にどうだった、とか
 未来にどうな
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