最後の一羽/やまうちあつし
 
可能となり、乱獲は加速した。

一八〇〇年頃を境にして生息数が減少し始め、一八五〇年頃にはその傾向が顕著であった。この事態を受けて、リョコウバトの保護法案が可決されたりもした。それでも人間は、自分たちの食欲を押しとどめることができなかった。他の鳥の肉と比べても、その肉は格別に美味く、暮らしの中で人々の舌を悦ばせ、胃袋を満たした。銃は密やかに、けれども頻繁に磨かれ、満腹の分だけ黒光りした。

野生のリョコウバト繁殖群は、一八九六年四月に記録されたものが最後であった。この年、リョコウバトはすでに二五万羽を残すのみとなっていたが、ハンターたちはその群れを発見するや否や電報で連絡を取り合って乱獲を
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