聖堂/ホロウ・シカエルボク
どこにもコネクト出来ない、あらゆる感覚が閉ざされている、窓の外にはいつの間にか闇が訪れている、いつから流れているのか分からないディランのベスト・アルバムが微かに聞こえる、両手の指を何度か開いたり閉じたりしてみるものの、夢遊病者のように緩慢とした動作にしかならない、目を閉じる、ぼうっと、瞼の裏が真っ白い炎に包まれる、俺は紐のようなものになって、自分の身体の中へと潜っていく…そこは廃棄された過去の破片で埋め尽くされている、見当がつくものもあるし、まるで分からないものもある、すべてが強引にねじ切られたみたいにいびつな断面を晒し、果てしなく血を流したみたいな色に塗り潰されている、俺はその隙間に身体を滑り込
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)