ある日のえんばー4/若乱
 
う気にはなれず、松並木は見ず進む。日が完全にくれたのがその時くらいだったか。
丁度お祭りの日だった。提灯の橙色の光の歩道を浴衣姿のぴちぴちの女性と、汚い、帽子を目深にかぶったでっかい荷物背負ったやせっぽちがすれ違う。
お祭りはやっぱりいいな、と思う。街の心の浮き立つ音が嬉しく、僕の心にも染みた。しかし祭りは死でもある。途中花火がドンドンと鳴りだす。
もう暗くて、かなりぎゅうぎゅうに詰まった住宅街。街灯もなく誰もいない曲がり角で、ポツンと一人、自販機で飲み物を買う。人が遠くでけたたましく笑っている声が聞こえ、誰もいない神社には石灯篭に火が入り、盆踊りの屋台が大量の人の余韻を残している。今日はと
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