ある日のえんばー4/若乱
はとても神社では寝れない、と思う。こういう時が一番危ないのかも、と思う。浮き立つ心のまま、人は何をするか分からない。かといってこういう人たちの輪に入り、立ち回ることなどとても難しいことだなあ…とか思う。そういう平穏ではない、浮き立つ心が街を覆って、人をすっかりしびれさせている。祭りは死だ、と思う。儀式、とか生贄的に、たまに祭りは人を喰うのだ。たまに人を喰うために、神社はぽっかりと昼間口を開け、どなたでも休憩していきなさいとばかりに、隙間を作っているのだ。(いつもどこかは誰かの場所なのに、神社は休憩できるカラクリはきっとそれである)そしてお祭りになると瞑っていた目をらんらんと開け、開けっ放しにしていた口をにやりとゆがませ、あっはっはと皆と笑い、そして最後にバグリッ!と誰かを飲み込むのだ。石燈籠の光で濃くなった陰のちょっとした暗がりで。
(つづく)
戻る 編 削 Point(1)