才能とは前例のない武器である/ホロウ・シカエルボク
 
書かないよりはいいだろう、そんな風に思ったのだった。ところが、もちろん簡単に書いてばかりいられるはずがない。数をこなすうち、自分がなにを書こうとしているのか解り始める。どんな武器を手にしていて、どんな風に使えばいいのかということがだんだんと解ってくる。ブローティガンの物真似みたいな短いものから始まった僕の詩は、どんどん長くなっていった。「もうこれ小説でいいんじゃねえかなぁ」なんて思いながら長々と綴った物語もたくさんあった。

そうしていつのまにか、僕はまた小説を書くことが出来るようになった。それも、意気込まずに。書いているときの熱量と、誰かがそれを読んで感じる熱量は必ずしも同じではないことを
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