才能とは前例のない武器である/ホロウ・シカエルボク
して書き上げて積み上げられていく枚数がブースターとなって情熱の加速度は増す。でも、もちろんそんな熱さはいつまでも続くもんじゃない。それはある日突然事切れる。あんなに夢中になって書きつけていたものはなんだったのか、と愕然となる。むりやり書いてみてもなにか釈然としない。まるで火が消えたコンロの上で、気づかないままフライパンの中をかき混ぜているような気分になる。あれ、俺はどんな風に書いていたんだっけと考え始めて一行も書けなくなる。
こういうことは、程度の差こそあれ誰しもに起こることだと思う。いわゆるファーストアルバムのテンション、ビギナーズラックみたいなものは必ず消えてしまう運命にある。才能は枯
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